在校生・卒業生の活躍

スウェーデンのカロリンスカ研究所への海外短期研修の経験
―作業療法学生の立場からー 執筆:作業療法学科4年生(2021年入学生)

研修期間  2024年3月9日(土)~3月24日(日)
研修目的
・スウェーデンの保健医療福祉のシステム、医療保険制度や文化の違いを学び、同じ専門職でも国が異なれば役割や機能が異なることを理解する
・「専門職連携協働」の概念と異議を学び、将来、医療職場に必要なチーム医療の能力、国際的医療人及び国際的視点を有する医療人の素地を育む

研修内容
・学内講義(現地教員による講義、ディスカッション、現学生との交流)
・現地の医療施設訪問:KUA(実習専門病棟)、ナーシングホーム、他
・英語によるレポート課題とプレゼンテーション

ストックホルム
の街並み

地下鉄巨大
美術館

(1)「学生病棟」での学び

 現地で見学した多くの医療機関や施設の中で一番印象に残ったのが,学生が病棟の運営を行っている「学生病棟」です。テキスト ボックス: 学生病棟での様子私たちは現地で多くの医療機関や施設を見学することができました.私たちが一番印象に残っているのは学生が病棟の運営を行っている「学生病棟」の見学です。そこでは一人の患者様に多職種で構成されたチームが、指導者の助言を受けながらも学生が主体的に動いている姿を見ました。整形外科の病棟の作業療法学生は、主にADL(日常生活活動)に介入していました。トイレ動作をどの程度自身で行うことが出来ているか評価したり、ズボンや靴下を履く様子を評価しながら一緒に練習していたりと、日本の実習と共通する部分もありました。

しかし、自助具を購入する際の手続き,退院の際の玄関までのお見送り、理学療法学生と合同で階段昇降の練習などと, 学生が担う業務の範疇が幅広いと感じました。見学している際には、現地の作業療法学生から「日本ではどうなの?」「あなたはどう思う?」と質問され、日本のリハビリテーションを説明したり、自分の意見を表現したりする場面が多くありました。その際はしばしば言語の壁が立ちはだかり、もどかしい思いをしました。

(2)文化の違いによる支援への影響

パンにバターを塗るための自助具

実際に使っている様子

スウェーデンでは「地域でのケア」が発展しており,地域で働いている作業療法士の様子も見学しました。日常生活で何らかの支援が必要な人が入所することが出来る「ナーシングホーム」では、入所者の自立した生活を支える作業療法士の姿を拝見しました.特に印象的だったのは,見たことがない自助具の数々です.例えば、パンにバターを塗るための自助具です(上記写真参照)。脳卒中などが原因で片手しか使えない方にとって、パンを押さえながらバターナイフを使ってバターを塗る行為は難しいです。しかし,パンが動かないようにできる自助具があれば容易に塗ることができます.ご飯をお箸で食べることが日常の日本では,箸の自助具がメジャーです。この研修で2国間の相違に意識を向けることにより、道具を用いた作業自体が文化に大きく影響を受け,そして自助具には各国の文化が現れていることを認識することが出来ました。
今後の臨床の場では,対象者自身の文化的背景を尊重して支援していこうと思います.

(3)他職種連携への思い

  今回の研修には看護学科、理学療法学科、作業療法学科に所属している9名で参加しました. 24時間の共同生活によって他職種への理解が深まりましたこれまでも実習や授業を通して,各職種の役割や強みは習ってきました.しかし同じ状況に対する考え方の違いに大変驚きました相手の職業や役割に関心を持って自分の立場からも話をすることによって、他職種も作業療法への理解も深まりました。作業療法学生として考えていることを他職種に伝わるよう言語化することは、時に難しかったです.しかし他学科の学生から「作業療法士ってなんでもやっているんだね。すごいね。」と言われた時には、作業療法士の役割を少しでも伝えられたと、嬉しさと誇らしさを感じました. このように多くの学びを得た2週間でしたが、それらが「学び」と感じられているのはこれまで経験・学習してきたことがあったからではないかと思います。同時に、この2週間はもっと勉強しておいたら良かったと後悔した期間でもありました。この経験が将来何に繋がるかはまだ分かりません.しかし今回の研修でこれまでの人生すべてが役に立ったように、これからも何かに繋がるでしょう残りの大学生テキスト ボックス: 湖での記念撮影活,そしてその先に続く職業生活でも視野を広げながら勉学に励みたいと思います。

湖での記念撮影

ボンジェペイター教授

【IPE海外短期研修(カロリンスカ研究所)担当者からのコメント】
・Students are often anxious about their English, but in two weeks achieve fluency学生は自分の英語に不安を感じることが多いですが、2 週間で流暢に話せるようになります
・Students make Swedish and Japanese friends for life
学生たちはスウェーデン人と日本人の生涯の友人を作ります
・Students look back at the program with great satisfaction and sense of achievement学生たちは大きな満足感と達成感でプログラムを振り返ります

(2024年4月17日 校正:宮本)

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